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オフィスの居抜き効果について

2021.03.31 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、
ありがとうございます。


今回は、中古のオフィスビル経営について、
リーシングの観点からお届けします。


リーシングとは分かりやすく言えば、
物件に対するテナント付けです。


空室の場合、まずは募集条件を決めて開示して、
リーシングを依頼することから始まりますが、
昨今はコロナ影響もあり、店舗、オフィスの空室
は目立ちます。


空室に対してテナント付けを行うのですが、
どうすればスムーズにテナント誘致ができるのか、
悩まれているオーナーは多いです。


そのなかで、オフィスの場合、面積は異なっても、
室内状況はタイルカーペットの床・ジプトーンの
天井など、似たような空間が多く、探すほうも同
じように見えて迷うことはあります。


そのため、最近では、セットアップオフィスといっ
て、オーナー側で一部の内装を用意し、テナントに
貸し出す形態も増えてきました。


接客スペース、応接室、ラウンジスペースなどの内装
と、それに付随した什器備品を用意して、テナントを
迎える準備を整えた空間です。


賃料は割高に設定されているのが一般的ですが、
テナントからすると、会議室などの内装工事や
デスクなどの什器備品の用意が不要で、初期費用
を抑えられるメリットがあります。


イメージされている内装とマッチする空間であれ
ばメリットのほうが大きい場合があり、リーシン
グにおいて一定の効果があります。


そうしたセットアップオフィスは、貸主にとっては、
空室対策の一環と、もう一つの意味合いがあります。


セットアップオフィスのオーナーは不動産会社である
ケースも多く、その場合は、セットアップへ投資をし
て、賃料を割高にして収益性を高くしておく、という
目的があります。


不動産会社の多くは、市場を踏まえながら、どこかの
タイミングでビルを売却する前提で経営をしています。
そのため、収益性を高くしておくことは利回りに直結
し、高い価格での売却の可能性が見いだせるからです。


では、個人のオーナーが、空室対策でセットアップ
オフィスを作るのはどうか・・・


これはややリスクが高いと思います。


といいますのが、セットアップオフィス自体、一定の
ニーズはありますが、それでもその空間にマッチする
のかどうかは、企業によって異なってくるからです。


IT系の企業なのか、設計事務所なのか、法律系の
事務所なのか・・・或いは男性と女性、どちらが多
い会社なのか・・・


これらの違いで、たとえば、用意するデスクや椅子一つ
とっても変わってきます。


一定の業種に狙いを定めて作りこむと、さらにリスク
はあり、ハードルが高くなります。


そのため、セットアップオフィスとまではいかないま
でも、居抜きオフィスということをお勧めしています。


居抜きオフィスをするために大切なポイントは3つです。


1,テナントへのヒアリング


居抜きは、現テナントからの解約申し出があったとき
から計画がはじまります。


解約申し出があった際、通常は、テナントに退去理由の
ヒアリングをしますが、そこにプラスして、デスク等の
備品や造作などを、次の移転先に持っていくのかどうか
までを確認します。


その段階で、迷っている、或いは決めていない、などの
回答であれば、居抜きで後継テナントを探せる可能性が
生じます。


ここで大切なことは、その時点でテナントにアポイント
をとって、室内を確認しに行くことです。


なぜなら、長年使っている備品や造作は劣化が激しい
可能性も十分にあり、そうなると居抜き募集自体が足
枷になってしまいます。

そのため実際の現状を確認しに現地に伺います。


確認して十分に使える状態であれば、まずはテナントに
居抜きの相談をします。


オーナー側の承諾の前になぜテナントに相談をするのか・・・
それは、備品や造作は、テナントの所有物だからです。


2,テナントへの説明と協力依頼


居抜きによる、現テナントのメリットは何でしょうか。
それは、原状回復工事の負担軽減の可能性です。


備品の廃棄や造作撤去などは、テナント側の原状回復
工事の一環です。後継テナントが見つかり、そのテナ
ントが居抜きで良いとなれば、それらの原状回復の一
部がなくなり、費用負担が大きく減るメリットがあり
ます。


しかし、そのためには、単に居抜き承諾をもらうので
はなく、リーシングの際の内覧への協力も同時に取り
付けることです。


その理由が3つ目のポイントになります。


3,解約までの期間を活かす


現テナントの内覧協力を取り付けると言いましたが、
通常は、退去後、空室となって内覧をするのが一般
的です。

しかし、居抜きの場合、現テナントの解約までに
後継テナントが決まっているのが理想的です。


それは、契約書上、退去時には原状回復工事をして
空室での明け渡しのため、オーナー側としては、備
品等を残す居抜き狙いでのメリットもありますが、
デメリットもあるからです。


冒頭で伝えたように、一定のニーズはありますが、
新たな申し込みテナントが、備品や造作は不要と
するケースもあります。

そうなるとオーナー側の撤去負担になるため、現
テナントの解約日までに後継テナントを決めてお
くスケジュールイメージです。


解約申し出から実際の解約日までは、賃貸借契約書
により異なりますが、3ヶ月~6ヶ月後が一般的です。


実務上は、解約日までの期間が、居抜きのリーシング
期間になります。


そのためには、テナントがオフィスで業務をしている
ときでも内覧をお願いする場面も生じますので、さき
ほど申したテナントの協力が不可欠なのです。


私も先日、管理しているビルで、同様の方法にて、居
抜きオフィスとして2部屋決まりました。


しかし、これは現テナントの協力があって成り立つこ
とで、そのためには、普段からテナントとの関係を大
切にしておくこともポイントになります。


また、居抜きで成立する場合の実務においては、現テナ
ントと後継テナントとの動産譲渡の契約も必要です。


いかがでしょうか。

セットアップオフィスはオーナー側で空間を作りこむ、
居抜きオフィスは現テナントの空間を活かす、この違い
はありますが、いずれも、可能性を追及した空室解決策
の一つです。


解約が出て、居抜きオフィスかどうか悩まれている
オーナーは、お気軽にご相談ください。


以上となります。


最後までご視聴いただき、ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。


また、不動産に関するご相談は概要欄のお問い合わせ
からお願いいたします。


おかげさまです。蔭山達也でした。