こまざわRe・tro(リトロ)。オーナー、入居者が満足する賃貸リノベーションには「調和」が大切。
2009年ノヴェルが、賃貸向けリノベーションとして発表をした「こまざわ Re・tro(リトロ)」。
内装をかっこよく、キレイにするだけではなく、そのお部屋に合ったブランディングを構築して、入居者だけでなく、オーナーにも喜びを共有してもらうこと。不動産経営を熟知したクリエイターだからこそできる、リノベーション。6年経った現在(いま)、リノベーション物件は多数あるなかでも、ここまで深堀りして完成したお部屋は珍しいのではないでしょうか?
今回、6年ぶりに空室となった「こまざわRe・tro」。
入社以来、写真では見たことことはあるものの、はじめて中に入ることとなった、ひとつのリノベーション物件。入居者の方がすごく大事に暮らしてくださったお部屋に対する「愛情」と、この空間の「つくりての想い」を受け取りました。当時のクリエイターは弊社のスタッフ、内記宏和さん。現在は、岩手で個人デザイン事務所「内記デザイン事務所」を営んでいます。ぜひ、次にご入居していただく方に「つくりての想い」を届けたく、このお部屋について、語っていただきました。
1、どんな入居者を想定して、リノベーションをしたのですか?また、賃貸マンションをリノベーションすることで大切なことは?
正直なところ、この物件でしたことと言えば、「調和させる」ことだけです。例えば、トイレの建具(ドア)は過去にリフォームしてあったためにレトロ感がないよくある普通の建具でした。つまり、全体的なレトロな雰囲気と反して、トイレのドアだけ新しいという「不調和」を起こしていました。それを敢えてレトロ感のある建具を特注するなどして、全体のレトロ感に合わせました。そのような様々な「不調和」を「調和」させるということが最大のポイントでした。
確かこの物件に住んでいた方が、かなり長く住んでいた(たしか10年以上)ので、設備の老朽化はもちろん、時代の変化により部屋の印象が「ただ古い物件」となってしまっていました。ということで、賃料を大幅に下げて募集するしか方法がないだろうと話していた物件でした。また、部屋が広く間取りも特殊であったので、すぐに客付けは難しいだろうと考えていました。
そこで、最初はフルリノベーションの提案をオーナーに行ったのですが、フルリノベーションだと費用がかなり高額となってしまい、オーナーはその費用対効果に難色を示されていました。実際に占有面積も広かったので高額となってしまうことを避けられず、利回りから考えれば提案するべきではないような状況でもありました。ただオーナーとしても賃料を下げたくないというお話も出ていました。さらに、オーナーはこの時点でマンションの大きな改修を行ったことがなかったことも重なり、最終的には低予算で改修を行い「賃料の維持」を希望されました。
この難しい希望に応えるためには、コアな人にターゲットを絞るべきだと考え、マンションの最大の特徴である「レトロ」をコンセプトの軸としました。しかし、 一番の売りになるはずの「レトロ」感も一時的な安易なリフォームにより「不調和」を起こし、完全な「レトロ」ではなくなっていたので「もう一度レトロにする」という意味で、「RE:(リ)」とRetro(レトロ)」を合わせて「Re:tro(リトロ)」としました。