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1棟マンション 購入時のポイント(賃料編) ~私ならこう見る プロの視点 3選~

2020.11.11 | シェア事業

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、投資目的の1棟収益マンションを購入するときに重要な要素となる賃料について、調べるべき3つのポイントについてお話します。



1.現状賃料と5年後賃料

2.エリア内における最大賃料額

3.競合物件の傾向性


1、現状賃料と5年後賃料を比較する


最近こういった案件がありました。


都内で鉄筋コンクリート造の新築1棟マンションが表面利回り5.5%で売りに出ていたんですよ。


鉄筋コンクリート造の新築マンションとしては目を引く利回り感でしたから、クライアントにご提案をしようと市場調査しました。


しかしながら、最終的にはご紹介しなかったんです。


それはなぜか・・・


現状の賃料設定があまりに高かったからです。


新築マンションですから、周辺と比べて多少高い設定というのは当然で、実際に新築だと入居者もつきます。


しかし、その設定の乖離が、あまりに大きすぎると別の問題が生じます。


そのエリアは、新築マンションが多い=競合も多いのですが、新築でも1ルーム9万円台が中心で、築5年~10年経過している物件の場合だと8万円台でした。


そのなかで、対象マンションは、11万円~12万円中心の賃料で販売価格を設定しているのです。


その賃料設定で満室の想定利回りが5.5%なんです。


入居者の入れ替わり後、たとえば3年~5年後を想定すると、期待値を込めても1部屋あたり9万円で見ておくエリアです。


そうなると、次のようなシミュレーションとなります。


販売価格4億8千万円


◇現在    11万円×20室=220万円 年間2640万円   利回り5.5%


◇3~5年後  9万円×20室=180万円 年間2160万円          利回り4.5%


年間収入▲480万円


おわかりでしょうか。


もちろん、入れ替わりが3年後にあるとは限りません。そんなのは誰にも分かりませよね。


しかし、私どもは中長期で保有をしてもらう前提で提案する以上、その点も踏まえて想定はしないといけません。


新築物件は、不動産会社が貸主であり、売主というケースがほとんどです。


そのため、フリーレントや初期費用を抑えたコントロール・客付会社への広告料設定など、あらゆる方法で家賃を下げないリーシングをします。


とはいえ、それは貸主の費用負担です。


そこまでして賃料を落とさないのは、もちろん、設定した利回りで売却をするのが目的だからです。


しかし、それ自体は、悪いわけではありません。不動産会社が利益を求めるのは当然です。


ただ、あまりに新築の賃料設定と周辺相場に乖離がある物件だと、数年後の収入は極端に変わります。


とくに融資を利用して取得する場合、返済の問題にも直結します。


2、エリア内における最大賃料


さきほどの物件のエリアでは、新築でワンルーム9万円台が中心と言いました。


これは何を意味するか・・・


そもそもこのエリアでのワンルームや1Kなど単身者物件は、10万円を超えることに無理が生じる、という点です。


これは、坪単価や㎡単価だけに捉われると見えてきません。


新築や築浅物件の場合は、エリアにおける最大賃料額を意識して見てみてください。それで、数年後の現実的な収支が想定できます。


3、競合物件の傾向性


東京通勤圏駅圏内でワンルーム単身用物件は多いです。当然、需要が多いからですが、それ以上に供給も多いです。


そのため、賃料以外の条件は、どういう傾向性があるのかをよく確認しておくべきです。


とくにフリーレント・敷金礼金・広告料などがどのような設定をされているエリアなのかを把握する必要があります。それはなぜか・・・


たとえば、フリーレント1ヶ月、礼金ゼロ・広告料1ヶ月分・・・・というのが一般的なエリアだった場合、ご自身が保有したマンションで合わせていくと、入居者入れ替わりの際には、2ヶ月~3ヶ月分マイナス想定をしておく必要があるからです。


年間収入のうち2~3ヶ月分のマイナスは、収支にも大きく影響してきます。


そのため、そういった傾向性を把握したうえで、収支を組み立てていく必要が生じます。


いかがでしょうか。


今回お伝えしたかったのは、単に現状の収支や利回りだけを見ると、保有後に想定外の収支になることがある、という点です。


投資はリスクがつきものですが、そのリスクの内容を把握したうえで物件を選択していくことが重要です。


たとえば、さきほどの例だと、現状想定利回り5.5%ではなく、3年後の想定利回り5%を基準にして、価格が近くなるのであれば、進めても良いかもしれませんね。


あるいは、マンションではなく、築年数の経過したアパートなどは、近い将来の売却を見越して、賃料よりも契約形態の内容(定期建物賃貸借契約か否か)を優先し、且つ、敷地形状や道路付けなど土地に重きをおいた見方で取得するということも大切になってきます。


以上となりますが、最後までご視聴いただき、ありがとうございました。


ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。