オーナーの意識と共用部分について
おかげさまです。
不動産コンサルタント蔭山達也です。
オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、
ありがとうございます。
前回は、セットアップオフィス、居抜きオフィスに
ついてお話しましたが、今回は、専有部ではなく、
共用部の工夫でのリーシング効果についてお届けし
ます。
前回もお伝えしたとおり、リーシングとは物件に
対するテナント付けです。
テナント候補者は、様々なビルを見学してどの物
件にするかを決めていきます。
そのなかで、オフィスはどうしても、タイルカー
ペットの床・ジプトーンの天井など似た空間にな
りやすく、差別化が難しい面があります。
前回お話したのは、その差別化をセットアップオ
フィスや居抜きオフィスで解消することでした。
しかし、そういった専有部を変えないままでも、
ビルの個性の違いは出せます。
それが共用部です。
ちょっとした演出でも、ビル全体の印象が変わり、
リーシング効果に影響を及ぼします。
当社が管理しているビルで、築年数は50年ほど経
過しているのですが、常に満室稼働で、退去後も
すぐにテナントが埋まるビルがあります。
長く管理しているのですが、空室期間1ヶ月以上
という記憶がありません。
駅からの距離も7~8分ほどあり、立地の優位性が
必ずしもあるとは言えないのですが、それでも、
賃料を安易に下げることなく、満室稼働のビル経
営をされています。
その秘密は何か・・・それはオーナーのテナント
を迎える心です。
ビルがマンションと違うのは、人の出入りの多さ
です。
そのため、多くのビルでは、清掃には力を入れて
います。週5日或いは毎日清掃に入るのが通常で、
ビルのエントランスの綺麗さにおける差別化は、
それほど期待はできないのが実情です。
綺麗なのが前提だからです。
しかし、オーナーとしては、新規募集の際にはより
綺麗に見てもらいたいし、現入居テナントには、気
持ちよく使ってほしいという思いがあります。
その思いが強ければ強いほど、共用部で何か出来るの
ではないかと考えて、形にされます。
たとえば、次の写真を見てください。
素敵な生け花ですよね。これは、さきほど伝えた満室
経営のビルオーナーが、定期的に依頼して生けておら
れ、エントランスに飾られています。
新規募集をしている時期だけではなく、常にです。
エントランスというのはどの物件であってもビルの顔です。
たとえば、丸の内にあるようなSクラスのビルでは、
さきほどのような生け花や或いは植栽など、エント
ランスが充実しているのは当然かもしれません。
しかし、中小ビルでは、このエントランスへの配慮
が分かれ道の一つになります。
あるとき、新規の募集の際ですが、専有部に案内す
る過程でエントランスを通った際に、この生け花に
足を止めて感心されていた女性の方がおられました。
生け花に造詣が深い方だったようで、生け方にもこ
だわりをもたれていてオーナーの心遣いが分かりま
すね、とポツリと言われました。
結果的に、ご入居いただくご縁にもなりましたが、
エントランスのそういった観点は、何も新規募集を
狙ったためだけではありません。
また、入居テナントが、単に自分たちの気持ちが良
い、というだけでもありません。
テナントも、自分たちの取引先やお客様をビルに迎
え入れる場面は多いからです。
そのとき、素敵なエントランスのビルに入っている
自分たちなのか、或いは、その逆なのか、相手から
の印象は大きく変わります。
もちろん、生け花でなくても良いと思います。
生け花はあくまでも一つの形です。
大切なのは、そういったテナントの背景を踏ま
えて迎え入れる心を、オーナーが持つ、という
ことです。
そうすれば、新規募集の際に、数ある物件のな
かで印象に残るビルとなり、成約確率は高まり
ます。
いかがでしょうか。
極端に費用をかけることなく、ちょっとしたこと
で出来ることは多くあります。
さきほど清掃は前提と言いましたが、コストを抑
えて清掃回数を減らすのではなく、逆に増やすこ
とでリーシング効果やテナントリテンション効果
はあるかもしれません。
繰り返しますが、テナントを迎える心を大切にし
てください。
なぜなら、テナントがいて、はじめてビル経営は
成立するからです。
以上となります。
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。
ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。
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おかげさまです。蔭山達也でした。