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原状回復問題について

2021.12.17 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルを
ご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、原状回復の問題についてお届けします。


原状回復の何が問題か・・・
それは、貸主と借主、どちらの負担と
なるのかという点です。


例えば、タバコを室内で常に吸っていて、
壁紙がすべてヤニで変色となった。


或いは、何かをぶつけて壁に穴が開いた、
など、明らかに借主の過失による内容で
あれば、貸主と借主どちらの負担か
分かりやすいのですが、そうではない
ケースも多くあります。


以前、退去した部屋で、壁や床など、
至るところにカビが増殖していたケース
がありました。


こういったイメージです。


当然、壁紙は全部張り替えが必要です。


掃除をしていなかったため、
浴室の一部にカビが生えるということは
あるのですが、写真のように部屋全体的
なカビについては、100%借主の過失と
は言い切れない部分もあります。


とくに、
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、
建物の構造上の問題も多いです。


マンションは室内に熱がこもりやすく、
逆に一度冷えてしまうとなかなか暖まら
ないという性質をもっています。


そのため、結露によって湿気がこもり、
カビが生じやすくなります。


しかし、
部屋中にカビが増殖している状態のまま
放置していた借主には責任はないので
しょうか?


日常的な換気や清掃を一切せず、
結露を放置していたという生活であれば、
これは、借主の善管注意義務違反にあたります。

とは言え、
さきほどのように部屋全体に広がる
ようなカビの増殖は、建物自体も原因の
一つである可能性はありますので、
100%借主とは言い切れないことも
多いのが実情です。


では、借主の負担はないのか。


そういうわけではなく、
貸主からすると、早めに知らせて
くれていれば、専門業者を入れて、
未然に防ぐことができた可能性は
あります。


少なくとも、
部屋全体にまでカビが広がる前に、
借主は貸主へ知らせるべきであり、
それを怠って放置していた結果の状態で
あれば、善管注意義務違反或いは、
通知義務を怠ったとして、
借主の負担も一定にはあると考えられます。


その他には
万年床でフローリング床が変色して、
且つ、その範囲が広いケースもあります。


変色した範囲だけフローリングを
変えると明らかに違和感があると、
フローリング全体を交換せざるを
得ないときもあります。

クロスであれば、居住した年数とクロスの減価償却の割合で、6年以上経過していれば実質1円の価値で計算するのですが、フローリングにはそういった経過年数という概念はありません。


フローリングの部分交換だと、
経過年数は考慮せず、
1年住んでも10年住んでも、部分補修や
交換についての費用はすべて借主の負担です。


ただ、ここで間違えやすいのが、
さきほどのように、フローリング全体の
交換が必要になるような原状回復のときです。


フローリングであっても、
全体を張り替える場合のみ、
経過年数が考慮されます。


クロスの耐用年数は6年で残存価値1円
となる計算ですが、フローリングは、
建物自体の耐用年数で計算していく
ことになります。


例えば、
鉄筋コンクリート造であれば
耐用年数47年ですから、47年経過後に
残存価値1円となるように負担割合を
計算する、という考え方になります。


計算方法については
ここでは触れませんが、大切なのは、
フローリングの部分交換や補修は、
経過年数や耐用年数は考慮されないものの、
フローリング全体を交換する場合には、
経過年数や耐用年数が考慮されるのが
原状回復のガイドラインである、
ということです。


原状回復は、
その原因が何かよっても揉めるケースは
多いのですが、とくに、カビや
フローリング全体の張り替えは
分かりにくい箇所でもあるので、
ぜひご参考にしてみてください。


以上となります。

最後までご視聴いただき、
ありがとうございました。


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よろしくお願いします。


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おかげさまです。蔭山達也でした。