BLOG

「定期建物賃貸借契約」についてお伝えします

2020.09.04 | コラム



おかげさまです。蔭山です。

オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、建物賃貸借の契約形態について、お話をさせていただきます。


賃貸不動産において、民法の特別法である借地借家法が適用される賃貸借契約は、「普通建物賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」の二つがあります。


なお、借地借家法が適用されないケースは、次のような内容です。


・「建物の所有を目的」としないもの  駐車場賃貸借契約など


・賃料を払わず無償で借りているもの  使用貸借契約など


・一時使用目的であるもの 


これらいずれかに当てはまる場合は、借地借家法の適用対象外となり、借主保護の対象から外れてしまいます。


今回は、そのなかで「定期建物賃貸借契約」についてです。


すでに活用されているオーナーも多いと思いますが、今一度、メリットやデメリットをお伝えして、自身の賃貸不動産に活用されることをお勧めしたいと思います。


まず、定期建物賃貸借契約の貸主から見たメリットは次のとおりです。


・契約終了が確定できるため、建て替えや大規模なリニューアルへの備えが可能


・不良テナントの円滑な退去


・現在の市場賃料と継続賃料との乖離防止


一番のポイントは、契約満了日の1年前から6ヶ月前に再契約をしない旨を借主に書面で通知することで契約が終了できることです。


定期建物賃貸借契約には更新という概念はありません。


再契約をするか、或いは契約満了により終了するか、どちらかです。


この契約が終了できる点は、建て替えを想定しているオーナーには大きなメリットとなります。


たとえば、普通建物賃貸借契約の場合であれば、貸主からの解約には正当事由が必要になってくるため、簡単に貸主からの解約はできません。


もちろん、借主に、賃料不払いなどの、何かしら重大な契約違反があれば契約を解除できますが、ここで言う「正当事由」というのは、借主に契約違反はないけれども、契約を終了させても仕方がないという理由です。


単に建物が古くて建て替えたい、更地にして売却したい、市場より賃料が低いからテナントを入れ替えたい、自分が使用する・・・これらのみでは正当事由としては認められません。


貸主側の一方的事情だけで決まるものではなく、借主にとっても、借りている物件は、生活の拠点だったり、営業の拠点だったり、通常、その物件を借りていなければならない都合があるからです。


そういったなかでよく出てくるのが、立ち退き料です。


法律上、立ち退き料は、貸主側の「正当事由」を「補うもの」となります。「補うもの」ですから、単に、立ち退き料を払うから出て行ってくれと言っても、裁判所は認めてくれません。


貸主側にそれなりの事情はあるものの、その事情だけでは借主への解約には至らない点を補足するものが「立ち退き料」であり、同時に借主の経済的損失を補償する意味合いもあります。


一方で、定期建物賃貸借契約のデメリットは何でしょうか。


これは、普通建物賃貸借契約の市場賃料と比較すると、低くなる傾向がある点です。


エリアや住居か事業用によっても変わってきますが、5%~15%くらい低くなるのが一般的です。


借主側としては、2年後や3年後に、再契約できるかどうかは借りる段階では分かりません。

そのため、ずっとその場に住み続けることは確約されないことになり、普通建物賃貸借契約に比べてあきらかに不安定な状況になります。


それを補完する意味もあって、賃料相場は必然的に低くなっているのが現状です。


それでも、築年数が経過しており、数年後に建て替えを決断している貸主であれば、1割2割低くなっても、契約終了が読める定期建物賃貸借契約のほうが、メリットとしては大きくなります。


そのため、5年~10年後に、建て替えを想定している建物を所有のオーナーは、今からでも定期建物賃貸借契約にしておくことをお勧めします。


新規募集であれば分かりやすいのですが、現在、普通建物賃貸借契約で契約中のテナントがいらっしゃるのであれば、更新を境にして定期建物賃貸借契約へ切り替える交渉を、管理会社を通じて行っておくことが大切になります。


定期建物賃貸借契約への切り替え交渉について詳細をお聞きになりたい方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。


本日は以上となります。最後までご視聴いただき、ありがとうございました。

よろしければチャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山でした。