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「お客様います!」不動産業者のチラシは「ウソ」or「本当」?

2020.11.18 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、不動産売却の際、何を基準にして頼むべきか、というお話です。


みなさんのなかには、郵便受けに、こんなチラシが入っていることはないでしょうか。


「お住まいのマンション指定で探しているお客様が○人控えています」

「お住まいのエリア内で、予算○○万円で探しているお客様がいます」


これらは、不動産会社が、所有者に対して、売却を求めるチラシです。


或いは、チラシ以外で、不動産会社から同様のお手紙が届いている人もいるかもしれません。


さて、このチラシの内容は、本当なのでしょうか・・・


実は、私も20代後半まで、ある大手の仲介会社に属していて、そういったチラシを投函していた側だったのです。


とくに大手の不動産仲介会社などは、パートを雇用して、エリア一斉にこの手のチラシを毎日のように投函をしています。


そう言えば、勝手に人の郵便受けに投函するなと、住民の方に呼び出しを受けたことも何度かありました・・・


これは、30年以上前からある不動産営業手法の一つであり、インターネット時代の今でも健在です。


それはなぜか・・・売却を検討している人で内情を知らない人は、チラシを見て、お客様がいるなら、まずはその不動産会社に相談をしようと思うからです。


しかし、正直申して、チラシの内容はかなり誇張されているのが実情です。

たしかに、物件によっては本当のときもあります。

滅多に売りに出ないマンションや、希少性の高いエリアでの不動産など、限定して探しているお客様は確かに存在します。


しかしながら、そういった不動産は、ほんの一握りなのです。


また、どこまで本気で探している方なのかは、誰にも分かりませんよね。


インターネットで問い合わせがあっただけでお会いしたことのないお客様でも、探している一人とカウントは出来るからです。


ではなぜそのようなチラシを入れるのか・・・それは、実際にお客様がいてもいなくても、不動産会社の目的は、売却依頼を受けることに重きを置いているからです。


売却の依頼を受けるということは、少なくともその不動産会社を介して売買成立する可能性が格段に上がることを意味します。


結果的に買主は自社のお客様ではなくて、他社のお客様であっても、売主側の仲介手数料が入るからです。


そのため、その取っ掛かりとなるのが、お住まいの物件が売りに出るのを待っているお客様がいる、というような誇張されたチラシなのです。


実際、私のマンションにも「○○マンション購入希望者 ○人控えています」と書かれたチラシがよく投函されています。

それであるとき、そのチラシを見たあとに、自分のマンションが売りに出ているのか調べたところ、そのとき上層階の3部屋が販売中で、1ヶ月前から売りに出ていました。

購入希望者が本当に控えているのであれば、少なくとも3部屋のうち何部屋かはその1ヶ月間で決まっていますよね。


そういった売り物件を求めるチラシの内容については、いつの時代でも、話半分以下くらいで見ておくべきです。


そして、これは不動産査定においても同じことが言えます。


相場より極端に高い査定価格を出してくる不動産業者にも注意が必要です。


これは実際に当事者であるお客様から聞いた内容ですが、4社に売却の査定依頼をしたら次のような結果になりました。


土地付一戸建


A 社 4800万円

B社 4600万円

C社 4500万円

D社 5900万円


厳密には1万円単位で査定価格は出されているのですが、今回は分かりやすく百万円単位で区切ります。


この査定を見る限り、現実的な相場としては4500万円~4900万円の範囲と想定できます。


そして、同時に、5000万円を超えると販売に時間がかかるとも予想できる物件です。


しかし、そんななかでD社だけとびぬけています。5000万円どころか6000万円近い査定です。


確かに戸建の場合は、マンションよりも査定価格差は生じやすいのですが、それでもこの価格帯で1000万円以上の開きは極端な乖離です。


お客様心理としては、高く売れるほうが良いに決まっているものの、所有者も、自身の不動産のことですから、ある程度の相場観は持っています。


ちなみに、さきほどのようなチラシが頻繁に入っているのはD社だったそうです。


D社だけが極端に高い結果には違和感を抱く一方、チラシに書いてあったように、ピンポイントでお客様がいるのであれば、もしかしたら・・・という多少の期待も持ってしまい、依頼をされました。


D社としても、まず売却依頼を受けるのが第一で、ピンポイントでお客様がいること、そして、圧倒的な広告量を誇っていることで、査定価格で売却できる可能性には自信があるとのことでした。


さて、売却依頼をしてどうなったか・・

査定価格で売却依頼をした後、ピンポイントのお客様どころか、1ヶ月間、内覧など具体的な動きが一切なかったそうです。もちろん広告掲載もしています。


1ヶ月後に、D社から価格を下げる提案をされ、それでも動きがありません。


さらにまた少しずつ価格を下げての繰り返し。5ヶ月後に成約となりました。


成約価格は、なんと、当時のB社の査定価格とほぼ同額。


最終的には、相場の範囲で売れたことになりますが、これには売主様も、最初からA社やB社のほうが、売買価格の最終結果は同じであっても、時間というものを無駄にしなかったのではないか、という後悔が強く残ったとのことでした。


いかがでしょうか。


不動産会社は売却依頼を受けるためにあらゆる手を尽くします。そのこと自体は営業努力でもあり、大切です。


しかし、一方では、さきほどのチラシや査定のように、行き過ぎたところも見受けられる業界です。それを100%信じて、マイナスの結果になることもあるのです。


そのため、過度な期待をさせるチラシや査定については距離をとっておき、複数の会社から客観的な見解を聞くようにしてください。


以上となりますが、最後までご視聴いただき、ありがとうございました。


ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。