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ビルオーナー の心境を変えた テナント 候補からの「行動」とは

2020.12.02 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、飲食店舗のお話です。


飲食店舗にとって、立地というのは生命線です。人の行き来がある駅前の店舗賃料が高いのも、賃料に見合った集客が期待できるからです。


しかし、募集する側は、どんな業種でも良いかと言えば、そんなことはありません。


焼肉、中華、居酒屋などに代表される重飲食、或いはカフェなどの軽飲食。


重飲食は、特に「油」や「匂い」「煙」が多く出る業種を言いますが、建物自体や周辺への影響が大きい事から、重飲食は不可と、限定されがちです。


そういったなか、当社のクライアントでもある重飲食の経営者が、移転先の店舗物件を探していました。銀行とのお付き合いも深いため、銀行経由の物件も含めて、30物件ほど見たものの、なかなかありません。


そんなとき、ここしかない、という物件を見つけました。しかし、残念ながら募集条件は、重飲食が不可でした。


普通は、ここで諦めますよね。そして他の物件を探します。


ところが、その経営者はまったくあきらめませんでした。


何をしたか・・・なんと、そのビルの所有者を法務局で調べて、自筆でお手紙を書いたのです。


このとき、皆さんならどんな内容の手紙を書きますか?


会社の規模、売上、利益、客数などでしょうか。確かにそういった数字的要素は、貸主としては安心しますよね。


しかし、その方は、そういったことは一切書かないのです。


繫盛店でしたので、売上や利益などは申し分ないのですが、そこには触れていませんでした。


何を書いたか・・・ご自身がこれまでお店を経営してきた「理念と志」、なぜこの場所で、お店を続けたいのか、という熱い思いを筆にしました。


そのなかでは、地域貢献にも触れて、お店を出すことで、この地域をより活性化していきたいという思いも伝えていました。


そのお手紙から2週間後、ビルの管理会社を通じて連絡がありました。

ビルオーナーが、一度、お会いして面談をしたいと・・・


軽飲食しか受け付けていなかったビルが、重飲食の申し込み者に対して、扉が開いた瞬間でした。


面談では、人となりも感じていただきながら良い感触で進みましたが、やはり匂いなどは気になるとのこと。それは当然ですよね。そこで、そういったオーナーの懸念事項に対しては、設備投資で解消していくことを約束しながら、最終的には借りられる許可が出ました。


その後どうなったか・・・今、そのお店は行列ができています。


相乗効果で周辺にも活気が出て、地域貢献に繋がっています。匂いの問題も発生していません。


オーナー・お客様・テナント、皆がハッピーになっているのです。


それは、オーナーの理解によるところであり、テナントの有言実行力であり、そして、テナントを支えるファンのお客様であり・・・これらが全て整って成り立っていますが、


すべてのきっかけは、1通の手紙だったのです。


いかがでしょうか。


今回、何を伝えたかったのか・・・それは、誰かの心を動かしたいのであれば、熱い思いを素直に伝えることための行動をとるということです。


たまたま、オーナーとテナントという立場のエピソードですが、すべてに通じるのではないでしょうか。


簡単なことのようですが、行動に移すには、心からの思いがないと出来ません。また、形だけ手紙を書いても、相手の心は動かないでしょう。


半沢直樹ではありませんが、一見すると不可能と思われることも、熱意と行動で、可能性を見出すことができることもある、ということです。


以上となりますが、最後までご視聴いただき、ありがとうございました。


ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。