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申し込み時の交渉ポイント 貸主編

2021.06.23 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルを
ご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、
賃貸経営において申し込み時の交渉が
あった場合について、
貸主側の立ち位置としてお届けします。


借主であっても、
貸主側の心理を読み取るうえでは
交渉時の参考になると思います。


募集条件のまま申込みがあれば
交渉は不要です。

契約開始日などの調整はあるものの、
それらは調整であって交渉とまでは
言いません。


交渉とは、
募集条件に対してのものとなります。


例えば、
オフィスで、次のような募集条件を想定します。


◇オフィス


・月額賃料 50万円

・敷金   6ヶ月

・礼金   1ヶ月

・契約期間 2年

・更新料  1ヶ月


対して、条件交渉は次のような内容を想定します。


・月額賃料45万円

・敷金 5ヶ月

・礼金 1ヶ月

・契約期間2年

・更新料1ヶ月


物件自体の引き合い状況、
申込者の属性、
貸し手市場借り手市場の市場動向、
これらによって変わりますが、
前提を借り手市場として想定します。


ちょうど、現在のコロナ影響による
オフィス市況を想定してもらうと良いです。


さて、その場合、
さきほどのような条件であれば、
どうでしょうか。


そのまますべて受ける
オーナーも多いと思います。


ポイントは何か・・・
それは、長期的視点につきます。


オフィスはとくにそうですが、
一度入居されると、2~3年で移転と
いうのは少なく、5~6年以上継続する
可能性のほうが高いです。


住居より移転費用がかかることも
ありますが、
その都度ホームページや名刺、
電話番号を変えるのは結構な
手間ですし、
コロコロとオフィスが変わる企業は、
対外的イメージとしてもよくはありません。


そのため、増床や縮小など、
どうしても移転を要する理由が
なければ、同じオフィスのままと
いう傾向は強いです。


そうなると、貸主側としては、
何を優先して条件交渉すべきでしょうか。


さきほどの例では、
敷金6ヶ月を4ヶ月とありましたが、
敷金はあくまで預り金です。

家賃滞納などのリスク回避の役割は
ありますが、6ヶ月分が5ヶ月分に
なっても、さほど大きな影響を
及ぼしません。


礼金はどうでしょうか。


こちらは預り金ではないので
収入に影響はありますが、
それでも礼金を下げても、
賃料は当初の条件とおりで
通すべきです。

申し込みとおり、
礼金を1ヶ月のままで、
賃料を5万円減額したとします。


想定で5年間継続したとすると、
次のようになります。


ケース①


礼金45万円 ・・・A

賃料45万×60ヶ月=2700万円 ・・・ B

A + B = 2745万円


対して、礼金はなし、
フリーレントも2ケ月つける、
その代わり賃料は50万円のままと
交渉します。


ケース②

礼金 なし ・・・A

賃料50万円×58ヶ月=2900万円 ・・・B

A + B  =2900万円

ケース① < ケース②

    155万円


5年ではなく、4年であっても、
ケース②のほうが収入は多くなります。


申込み者は、申し込み時点では
何年そこにいるかまでは深く想定は
されないものです。


逆に初期費用のほうを
重視することも多いです。


貸主は、
その傾向性を逆手にとる形にします。

初期費用は譲歩、しかし、継続する
賃料については譲歩しない姿勢で
交渉を進めすることが、
将来の収入差につながる
大切な要素になってきます。


いかがでしょうか。


大切な申込者ですから、
交渉内容をすべてはねのけることは
ありませんし、逆に、すべてを呑む
必要もありません。


大切なのは、譲歩する項目と、
譲歩しない項目を、貸主がきちんと
把握しておく、という点です。

とくにオフィスの場合は、
テナントが継続する可能性が高いと
いうことを常に頭に入れておくと
良いと思います。


以上となります。


最後までご視聴いただき、
ありがとうございました。


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よろしくお願いします。


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おかげさまです。蔭山達也でした。