相続税対策の不動産は負動産になっていないか
おかげさまです。
不動産コンサルタント蔭山達也です。
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さて、今回は、相続税対策の成功の可否についてお届けします。
相続税対策で、マンションの取得や、アパート建築をする人は多いです。これは、現金で保有しておくより、不動産に変えて相続税評価額を圧縮しておくことによる節税効果です。
しかし、相続税評価額を下げることだけを考えて不動産取得すると、相続を受けて継承された側が苦労することがありますので注意してください。
相続対策で購入した不動産は、相続人に相続で残し、相続した人は、保有、もしくは売却することで、初めて相続税対策は完了します。
その際、保有、売却、どちらであっても大切なことがあります。
それは、保有であれば収益を生み続けること、そして、売却であれば、売れる物件であること、これらが成立して、はじめて相続税対策の成功と言えます。
万一、資産を目減りさせるような物件、売れ残ってしまう物件であれば、それは負債を生み続ける「負動産」になる危険性があります。
事例をあげます。
現金2億円を保有していて、法定相続人が1人と仮定します。
現金2億円をそのまま相続する場合、課税される相続税の金額は次のとおりです。
2億円(相続税評価額)-3,600万円(基礎控除)=1億6,400万円
1億6,400万円×40%(相続税率)-1,700万円(控除額)=4,860万円(相続税)
一方、現金2億円を不動産に変えて相続した場合はどうなるでしょうか?
現金2億円で不動産を購入して相続した場合、不動産の相続税評価額は一般的には実勢価格より下がります。つまり、現金を不動産に変えて相続することで、相続税評価額を引き下げられることになるのです。
相続税評価額が購入価格の、仮に6割としてシミュレーションすると、課税される相続税の金額は次のとおりです。
1億2,000万円(相続税評価額)-3,600万円(基礎控除)=8400万円
8400万円×30%(相続税率)-700万円(控除額)=1820万円(相続税)
現金2億円をそのまま相続した場合の相続税4,860万円と比較すると、3040万円の減額となります。
一見すると、この時点で相続税対策は成功しているようにも思えますね。
しかし、その不動産を相続で継承して、いざ売却しようとしたとき、1億2000万円でしか売れない不動産だった場合はどうなるでしょうか。
2億円を現金相続した場合、4860万円相続税を支払って1億5140万円が手元に残ります。
2億円を不動産で取得して相続した場合、1億2000万円でしか売れなかったら、1億2000万円が手元に残ります。
相続対策で不動産を取得して、3140万円マイナスが生じることになり、本末転倒になりますよね。
相続後の保有継続でも同じことは言えます。この場合、賃貸でお部屋が埋まる物件かどうか、これが成功の可否を握ります。相続評価は、賃貸割合というのもがあります。要は、満室になればなるほど、相続評価としては下がるため、相続対策の効果はあります。
しかし、取得したときは満室でも相続発生の際には空室になって埋まらない不動産であれば、せっかくの対策が台無しになります。
また、そういった賃借人がつきにくい物件というのは、売るときには、さらに苦労することになります。
ではどうすればよいのか・・・
ポイントはたった一つ、それは、優先事項を変えることです。
いかに圧縮額が大きいかを第一とした不動産選びではなく、
売れやすい、貸しやすい不動産を第一に選ぶ、という点につきます。
当然、圧縮効果がないと意味はないので、その点は考慮する前提となります。
東京に関して言うのであれば、築浅中古マンションは、相続税評価額を下げやすく収益性も確保でき、且つ、売却もしやすいという相続税対策に有利な特性を持っています。
もしくは、駅10分圏内の1棟マンションやアパートも良いかもしれませんが、ワンルームだけの建物の場合、ワンルームの供給過多もあり、5分圏内を目安にしなければ、賃貸付けにおいて将来苦戦するかもしれません。
いかがでしょうか。
繰り返しますが、相続税評価額を下げることだけを考えて不動産取得をすると、相続を受けた側は苦労することになりかねません。
そのため、優先事項は、いくら圧縮出来るかよりも、将来、売れやすい、貸しやすい物件であるか、ここに絞って対策をされることを強くお勧めします。
以上となります。
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。
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おかげさまです。蔭山達也でした。