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機械式駐車場の見直し

2021.03.12 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。

オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


以前に、ビルやマンションのランニングコストについてお届けしたことがあります。


今回、そのなかで機械式駐車場についてお話をします。


そもそも、機械式駐車場は、狭小土地を最大限に利用できる駐車場として、昭和60年代以降、ビルやマンションにおいて急速に普及しました。


国土交通省によるマンション総合調査によると、駐車場のあるマンションのうち「平面式駐車場」が78%、「機械式駐車場」が32.2%、「立体自走式駐車場」が5.3%となっています。


なかでも東京圏では機械式駐車場が40%を超え、設置率が高くなっています。


若者の車離れが言われて久しいですが、それでも都内においての駐車場ニーズは高いです。


しかし、30年前に設置された機械式駐車場の場合、募集しても空いたままになるケースが多いのが現状で、悩ましくされているオーナーや分譲マンション管理組合の話をよく聞きます。


なぜ募集しても空いたままになるのか・・・それは、機械式駐車場の規格、とくに高さの制限がネックになるからです。


30年前に設置した機械式駐車場は、そのほとんどは、車高1.5m前後の設定です。


しかし、今の車は、ワゴンなど2m近くの車高タイプが多く、機械式駐車場には入らないため、募集してもなかなか決まらない現状です。


また、機械式駐車場は、毎月点検のコストがかかります。年代やパレット数によって異なりますが、例えば15台ほどのピット2段式で月額5万~6万円かかることもあります。


15台全部埋まっていれば問題ないですが、仮に1台や2台のみ稼働していると、維持費のほうが高くなるケースもあります。


そのため、仮に駐車場契約を1台もしておらず、募集だけしている機械式駐車場があれば、


一旦募集をストップすることも検討しないといけません。


1台でも契約していれば、毎月のメンテナンスは必要で支出が発生しますが、0台であれば、メンテナンスを毎月ではなく、6ヶ月に1回などに極端に減らすことで、支出を減らすほうが得策の場合もあります。


しかし、そのままだと、収益を生まないことに変わりはありません。


そのため、機械式駐車場を平面駐車場に改修する方法はあります。


ビルに限らず、機械式駐車場が設置されている分譲マンションでも、機械式から平面駐車場に改修しているケースが多いです。


その際、気を付けるポイントは2つあります。

一つは、予算です。


単に解体だけであればそれほど費用はかからないのですが、機械式駐車場は、ピットと呼ばれる穴を地下につくって、2段式にしているケースが多いです。


その場合だと、解体すると、地下に空間が生じて、その部分の埋戻しに費用が生じます。

規模にもよりますが、解体含めて500万円以上はかかることが多いです。


もう一つは、遵法性です。


ビルやマンションなど建築する際には、建築基準法に基づき建築されます。そのなかには、容積率という決められた範囲内で建築するという制限があります。


この容積率を超過して建築すると違法物件になります。


しかし、駐車場を設置することで、駐車場部分の面積は一定数、容積率に算入しないという緩和の規定があります。駐車場面積の容積率不算入の緩和を利用して最大限の貸し床面積となるよう建築されているケースは多いです。


機械式駐車場の場合だと、床面積は1台あたり15㎡という基準があります。そのため、解体することで容積率の不算入がなくなり、建物全体が、容積率を超過することにならないか、その点は前もって計算をすることが大切です。


また、同じく建築基準法上で、駐車場の附置義務も関係します。建物を建築する際に、一定規模の場合、駐車場設置を義務付けられるエリアがあります。


建物の面積によって設置義務となる台数自体は異なりますが、解体して平面駐車場とすることで、少なくとも台数は減るでしょう。その際に、附置義務となる設置台数の確保が出来るのかどうかも平面駐車場にする際に気を付けてください。


いかがでしょうか。


時代とともに、求められる設備は変わってくるのですが、一番顕著なのが、機械式駐車場かもしれません。


今後、昭和60年代に多かった車が、時を経て流行ってくれば、今のままでも良いのですが、こればかりは読めないところです。


以上となります。


最後までご視聴いただき、ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。