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境界確認を甘くみてはいけない

2021.01.13 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。


オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、境界についてお話します。


境界とは、個々の土地を区画する公法上の区分線ですが、一般的には、境界点の位置を特定する境界標などでしるしが付いています。


現在の不動産取引では、土地や戸建においては、売主側で確定測量を行い、境界を特定するのは通常です。しかし、ひと昔前、20年近く前などは、測量しないで取引をすることも多かったです。決済前に、売主・買主・隣地に立ち会ってもらい、境界標やブロック塀をもとに、ここが境界ですよ、という感じでした。


なかには、仲介する不動産業者が境界標を設置している光景も見たことがあります。それほどルーズだった時代もありました。


私は、そのときは関西にいて、不動産業界に入ったばかりでしたから、あ~こんなもんでよいのか、という捉え方をしていて自分も見よう見まねで進めていました。

それで痛い目にあったことがあります。


当時、境界標がない戸建を売却することになり、売却活動の前に売主様に境界を確認したんです。


売主様は、明確にここです、と明示してきて、境界標はいつの間にか取れた、という話でしたので、決済前に隣地に立ち会いして確認できれば良いか・・・という感じで売却活動に入りました。

希少な立地の戸建だったこともあって、買主はすぐに見つかり、売買契約をしました。


決済までに、隣地に境界の確認の立ち会いをお願いしようとしていたのですが、いつ訪問しても、手紙を書いても、一向に対応してくれない隣地が一つありました。


売主様がご近所付き合いもあると思い、確認しても、売主様はその隣地のことはよく知らないと・・・う~ん、10年以上お住まいにもかかわらず、お隣さんをよく知らないというのも気になったのですが、そのときは、まだ若造で、突っ込んで聞くことはしませんでした。


結局、隣接している3宅地のうち、1宅地のみ立ち会いが出来ないまま、決済をしました。


そして後日・・その隣地から私宛に、連絡が入りました。


どんな内容かというと、境界紛争しているのをご存知なのか、それを知っていて売ったのか、という、青ざめるような内容のものでした。

話としてはこうです。売主様をAとして、問題の隣地をBとします。

売主Aと隣地Bは、10年前から境界で争っていたのです。お互い、自身が思っている境界とは明確なずれがあったのです。

その面積は10㎡・・約3坪ですが、結構な面積になります。

お互いの主張を聞きながら、過去の資料や土地家屋調査士に相談していく中で分かったのは、明らかに隣地Bの主張のほうが正しかったため、より困ったことになりました。

なぜなら、隣地Bの主張のとおりが境界だと、屋根の一部などをはじめ、様々なものが隣地Bに越境する状態になります。


裁判までには至っていなかったので、売主は告知しなかったというのですが、さすがにそれは言ってください・・・と当時は心の中で思いましたが・・・


これは私のヒアリング不足であり、調査不足でした。


買主は当然ご立腹です。何とか解決してくださいと・・・


結局どう解決したかというと、隣地Bの主張は客観的観点で正当性もあり、土地家屋調査士を入れて隣地Bの主張をもとに、測量と分筆登記を行い、買主がその10㎡を購入して所有することで解決を図りました。

その費用は、旧所有者で告知をしなかった売主が支払いました。


いかがでしょうか。


今の取引でも起こりうるかもしれないことですよね。


当時、まだ業界に入ったばかりの私の、身から出た錆とはいえ、結構てんてこ舞いで、動き回りました。購入いただいたお客様には何も責任はないので、これ以上迷惑をかけられないと、なんとか解決させようと必死だったのを思い出します。そして、そのお客様は、数年後に転勤になるのですが、その際に、売却を私に依頼していただいたのが何よりも嬉しかったです。


この仕事をしていて一番嬉しいのは、そういったお客様からのリピートや紹介なんです。


以上となりますが、最後までご視聴いただき、ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。