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2021.01.22 | コラム

おかげさまです。

不動産コンサルタント蔭山達也です。

オーナーのための不動産チャンネルをご覧いただき、ありがとうございます。


前回、住宅ローン控除についてお話をしました。


住宅ローン控除の適用要件には様々な制限があり、そのなかで、とくに気を付けるべきは、物件の築年数とお伝えしました。

おさらいすると、築年数の要件は次の内容です。


耐火建築物以外の場合 :20年以内に建築された住宅であること


耐火建築物の場合 : 25年以内に建築された住宅であること


この築年数に満たない場合は、何もしなければ住宅ローン控除を受けられません。


しかし、築年数が満たない場合の対応策としては、耐震基準適合証明の取得で、築年数の制限をクリアにできます。

住宅ローン控除だけではなく、その他、登録免許税など税金の軽減や控除等の措置を受けることにもつながり、建築士に依頼するコスト以上の還付が期待できますが、ここで注意すべきポイントは3つあります。


1つ目は、


耐震基準適合証明をいつのタイミングで取得するかです。

住宅取得後、いわゆる引渡し後に証明を受けたのでは遅く購入した中古住宅の引渡しを受ける前までにしておく必要があります。


それはなぜか・・・耐震基準適合証明書を取得して税制等の軽減措置を受けるには、住宅取得日の前の2年以内に証明書を入手するきまりがあるからです。

つまり、中古不動産を買う方ではなく、売主の名義で取得を要することになります。


2つ目は、


取得にかかる費用と期間についてです。


さきほど、売主の名義で取得と言いましたが、取得にかかる費用は原則としては買主になります。取得で享受するメリットはあくまで買主だからです。

中古マンションを想定してみると、建築士へ依頼して、調査及び耐震適合証明書取得までの費用は、5万円~10万円が一般的です。

期間は、中古マンションにより全く異なってきます。


調査には建築関係の書類の確認も必要です。書類を保管しているのはマンションの管理組合になりますが、保管場所はマンションによっても異なります。

建築書類がマンション内の管理事務所か管理会社にあるのか、或いはすぐに閲覧したりコピーできるのかなど、マンションによって環境が異なるからです。

管理規約で定められた許可手続きが必要な場合もあり、許可が得られるまでの日数もあります。


そのため、耐震適合証明書の取得を検討されているのであれば、購入申込み時点でその旨も伝えておき、契約後、所有者である売主の協力を得られるようにしておくこと、そして、売買契約から決済までの期間を有意義に使うために、契約後は、早めに建築士へ依頼することをお勧めします。


3つ目は


適合証明書取得以外の要件を満たしている物件かどうかの確認です。


たとえば、住宅ローン控除や登録免許税の軽減での共通事項として、築年数以外では床面積があげられます。

床面積50㎡以上というのが適用条件の一つとなりますが、マンションにおける面積の表示の仕方には2通りあるため注意が必要です。


1つは、壁の内側の寸法で計算された広さ内法(うちのり)の面積です。登記簿に記載されている面積ですね。自分が使用することができる部分の寸法で計算するので、部屋の実際の広さといってもよいと思います。


もう1つは、壁芯といわれる面積で、壁や柱の厚みの中心線の部分の寸法で計算した面積となります。これはパンフレット面積とも呼ばれますが、インターネットなどの広告では、そのほとんどが壁芯での面積表示です。

それでは、住宅ローン控除や登録免許税軽減の適用要件となる50㎡以上の基準はどちらか、これは登記簿面積となります。


物件によって異なりますが、内法面積と壁芯面積とは5%くらい、内法面積のほうが狭くなります。そのため、広告を見て面積50㎡であっても、内法面積は47.5㎡くらいです。そうなると、適合証明書を取得したところで、面積での要件が満たされていないため、住宅ローン控除は適用されません。これから物件を探す人は、その点も注意をされてみるのが良いのですが、登記簿面積はなかなか分かりませんよね。気になる物件があれば、内覧する前に、登記簿面積を不動産会社に問い合わせをすることもお勧めします。


いかがでしょうか。


補足ですが、残念ながら耐震基準に不適合と判定されてしまうことも想定しないといけません。


この場合は、耐震改修工事を行った後に再調査を行って、基準に適合すれば耐震基準適合証明書を発行してもらうことも可能です。しかし、耐震改修工事の規模や内容を踏まえると、現実的ではないのが実情だと思います。


実施しても、改修費用が、住宅ローン控除で受けられる減税のメリットをはるかに超える可能性のほうが高く、耐震改修をして再調査をするだけの意味があるのかなども、依頼した建築士にも相談して判断する必要があります。


不動産は住宅ローン控除や登録免許税軽減ありきではありません。


あくまでメリットの一つです。そのため、仮に不適合であっても、耐震以外では気に入られているのであれば、その観点も大切にして購入をされるのは良いことだと思います。


以上となりますが、最後までご視聴いただき、ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録もよろしくお願いします。

おかげさまです。蔭山達也でした。